【実証実験の状況報告】長時間滞空型固定翼無人航空機の開発
2020年11月26日 お知らせ
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令和2年度 実証実験プロジェクト事業補助金
補助事業の概要
補助事業名
長時間滞空型固定翼無人航空機の開発
対象期間
2019年度、2020年度の2カ年
事業者
新明和工業株式会社(兵庫県宝塚市)
背景と目的
現在、世界中で稼働している無人航空機(ドローン)といえば、3つ以上の回転翼(プロペラ)を搭載したマルチコプター機が主流です。 価格面、操縦性などの面から導入のハードルも低く、専門用途からレジャー用まで、広く普及しています。しかし、専門用途や産業への展開を見据えると、マルチコプター機では速度や飛行時間といった性能面でまだまだ物足りないという現状があります。 そこで、本プロジェクトでは、固定翼機に着目。より長時間の飛行が可能な航空機の開発を目指しています。 本機体で目指す飛行時間は約4時間。ある程度の重量の物資(数kg程度)を搭載しての飛行を目指しています。これを達成することで、以下の実現に期待が寄せられています。
(1)通信中継
災害時や山間部などの僻地において、通信が制限される場合があります。そうした際に、本機に通信設備を搭載し、上空を飛行させることで、通信中継基地の役割を持たせることが期待されます。通常、通信中継拠点を地上に設置するとなれば、設備投資および管理運用が必要となります。しかし、本機を使用すれば、必要な際に飛行させるだけで済むため、タイムリーな運用とコストの削減も期待できます。
(2)観測飛行
長時間の飛行が可能となることで、従来は難しかった長時間にわたる広範囲な観測飛行の実現が期待されます。
2020年度実証実験の概要
実験日程
2020年10月20日から22日の3日間
実証地
新潟市西蒲区越前浜海水浴場
実証内容
実証実験機「XU-S」を使用し、「滞空能力(長時間滞空)の実証」および「長時間滞空におけるシステムの信頼性の実証」を実施しました。
前回(2019年度)の実証実験では、離着陸能力の確認およびペイロード(物資、機器等搭載部分)の実証、基本的な飛行能力実証等、機体の基本性能の実証に成功しました。今回の実証実験では、主に飛行システムに改良を加えたほか、主翼、操縦、通信、電源の各系統を換装し、目標である4時間の滞空飛行を目指します。
本市は、実証地の利用調整、関係者間の調整、当日の安全管理・監視等を担当しました。
実証実験の成果
10月20日:連続15分間の飛行を達成
10月21日:連続40分間の飛行を達成
10月22日:連続3時間42分間の飛行を達成
新潟市西蒲区越前浜海水浴場を離着陸場として使用し、海岸の上空を飛行しました。
風の影響により飛行が困難な時間帯もあったものの、最終日の10月22日には、海岸線沿い(直線約1.5㎞の区間)の約70m上空を往復する形で、距離にして135㎞の飛行に成功しました。
新明和工業株式会社 航空機事業部の実験責任者は、「今回の実証実験で得た成果を踏まえ、2020年度末までに長時間滞空能力を備えた機体が完成する見込みです。その後は、本固定翼機を用いたサービス事業に展開すべく、用途に応じた機能の実装と能力向上に取り組んでいきます」と今後の展望をお話しされました。
本市としても、今回の実証実験成功を踏まえ、無人航空機開発拠点としてのノウハウの蓄積や、市内への生産拠点の誘致、部品供給に関して市内企業の参入につなげるなどの可能性を模索してまいります。